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親鸞会教義の相対化・16(質疑応答70)

続きです。


【2】流刑と西阿の破門

ビデオ三巻に、法然上人・親鸞聖人の流刑と、それに伴って、西阿が法然上人に説法を控えるように進言して、破門されるエピソードが書かれています。

ところで、

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1,
門弟等なげきあへる中に、法蓮房申されけるは、住蓮安楽はすでに罪科せられぬ。
上人の流罪はたゞ一向専修興行の故と(云云)
しかるに老邁の御身、遼遠の海波におもむきましまさば、御命安全ならじ。
我等恩顔を拝し厳旨をうけ給ことあるべからず。
又師匠流刑の罪にふしたまはゞ、のこりとゞまる門弟面目あらんや。
かつは勅命なり、一向専修の興行とゞむべきよしを奏したまひて、内々御化導有べくや侍らんと申されけるに、一座の門弟おほくこの義に同じけるに、

上人の給はく、流刑さらにうらみとすべからず、そのゆへは、齢すでに八旬にせまりぬ。
たとひ師弟おなじみやこに住すとも、娑婆の離別ちかきにあるべし。
たとひ山海をへだつとも、浄土の再会なんぞうたがはん。
又いとふといへども存するは人の身なり。なんぞかならずしもところによらんや。
しかのみならず念佛の興行、洛陽にして年ひさし、辺鄙におもむきて、田夫野人をすゝめん事年来の本意なり。
しかれども時いたずらして、素意いまだはたさず、いま事の縁によりて、年来の本意をとげん事、すこぶる朝恩ともいふべし。
此法の弘通は、人をとゞめんとすとも、法さらにとゞまるべからず。
諸佛済度のちかひふかく、冥衆護持の約ねんごろなり。
しかればなんぞ世間の機嫌をはゞかりて、経釈の素意をかくすべきや。
たゞしいたむところは、源空が興ずる浄土の法門は、濁世末代の衆生の決定出離の要道なるがゆゑに、常随守護の神祇冥道、さだめて無道の障難をとがめ給はんか、命あらんともがら、因果のむなしからざる事をおもひあはすべし。
因縁つきずば、なんぞ今生の再会なからんやとぞおほせられける。


2,
まだ一人の弟子に対して、一向専修の義をのべ給に、御弟子西阿彌陀佛推参して、かくのごとくの御義ゆめゆめ有べからず候、をのをの御返事を申給べからずと申ければ、

上人のたまはく、汝経釈の文を見ずやと、

西阿申さく、経釈の文はしかりといへども、世間の機嫌を存するばかりなりと、

上人又の給はく、われたとひ死刑にをこなはるとも、この事いはずばあるべからずと、
至誠のいろもとも切なり。見たてまつる人、みな涙をぞおとしける。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


以上が、法然上人の伝記でも一番代表的な『四十八巻伝』の三十三巻で、住蓮・安楽が死罪になった際のエピソードです。

專修念仏の布教を控えるように進言する西阿に対し、
「我、たとい死刑に行なわるとも、この事いわずばあるべからず」
とお答えになられ、專修念仏を広めるためには、自らの命をも惜しまなかった法然上人ですが(2)、

専修念仏を控えるように進言したのは、西阿だけに限らず法蓮房も進言されています(1)。
そして、それに対してその苦難さえも、喜びにかえられ、浄土での再会が間違いのないものであることを弟子逹に説いて、力強くも優しさに溢れた法然上人がそこにいます。

この『四十八巻伝』の伝承のうち、法蓮房のエピソードは『琳阿本』『古徳伝』『九巻伝』『十六門記』といった、別の法然上人の伝記にも共通部分が存在しますし、西阿のエピソードは上記の諸伝記に加え『醍醐本』にも存在しています。

しかし、これらの伝記類のどこを見ても、法然上人が西阿を「立ち去れ!」と破門したというエピソードは存在しません。

いったい、このエピソードの典拠はどこにあるのでしょうか?

親鸞会の教義に会わせて、新しく作ったエピソードを、歴史的事実のように語っているとしたら、非常に問題があるのではないかと思います。

私は部外者なので、率直に申し上げますが、高森先生を法然上人に投影して頂くのは別にかまいませんが、高森先生の人柄を法然上人に投影し、法然上人を不寛容で排他的な人物像にするのは、私のように、日頃より法然上人の言葉にも伝記にも親しんでいる者から言わせれば、はなはだ迷惑であり、絶対に許し難いものがあります。

信憑性のある資料に基づいて語られる、より史実に近い法然上人は、親鸞会の映画のような不寛容で排他的な人物でないことは、この機会に、はっきりお断りしておきたいと思います。

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